読書体験設計フレーム
世の中にはまあ、所謂『創作フレーム』的なのがございますわな。
ちょっと生成AIさんに聞いてみると、代表的なものとしては以下のようなものを挙げてくれる。
構造系三幕構成(セットアップ→対立→解決)— 最も汎用的な物語の骨格
ヒーローズ・ジャーニー — 召命・試練・帰還という神話的サイクル
キスビー・スノーフレーク法 — アイデアを核から外側へ結晶状に展開する
キャラクター系MBTI / エニアグラム — 性格類型を人物造形の出発点にする
欲求の階層マッピング — 表の欲求と裏の欲求を対立させてドラマを生む
制約系オブリーク・ストラテジーズ — ランダムな命令カードで思考の癖を壊す
SCAMPER — 既存のものを代替・結合・逆転などで変形する発想法
ワード/タイム制限 — 6語小説、25分ライティングなど、制限が輪郭を作る
視点切替系逆算法(未来から書く)— 結末を固定して原因を遡及する
悪役視点ドラフト — 主人公の敵の側から一度書き直す
ジャンル移植 — 同じプロットを別ジャンルに置くと構造の盲点が見える
感覚・素材系ムードボード先行 — 言語より先にビジュアル・音・匂いで世界観を固める
実体験マイニング — 感情の記憶を抽象化して普遍的な場面に変換する
なるほど、これだけのフレームがあれば書き手は楽だね、特に今なら生成AIに聞けば書きながら分析も出来るじゃないか、と思いがちなのだが、実はここに大きな落とし穴がある。
フレームをあらましだけでも眺めて、それを今まさに執筆中の文章に適用しようとした書き手側の人間であれば、一度ぐらいは首を傾げたことがあるんじゃないだろうか。
あ、これって結果論しか語られてねえや、と。
そう、いずれの創作フレームも、基本的には完成品から逆算した代物であって、一見すると再現性を見込んだ代物のように見えて、実際には執筆途中の文章を食べさせるのには全く適していないことに気付くだろう。
ほとんどのフレームにとって、執筆途中状態は守備範囲外なのだ。
さらには大きな暗黙の前提にも気付くはずだ。
あ、これって大衆文学やエンタメにしか使えないな、と。
そう、それぞれの創作フレームは、(暗黙か明示かは別として)基本的には何れかのジャンルを想定したものであり、汎用的に使っちゃいけない代物なのだ。
しかも、ジャンルの範囲は偏っている。有り体に言ってしまうと「売りやすいジャンル」に偏っている。純文学だの私小説だのは基本的に守備範囲外である。
もう一つ言えば、ベースがおそらく2時間劇場映画フォーマットを想定しているものも少なくないので、作品構造的にも守備範囲が存在する。例えば、フレームが長編しか想定してなくて、連作短編形式には全然当てはまらない、ということも普通に起きる。
書き手が使えそうで、実はイマイチ使えないケースが大半ってことである。
理由は実は明解で、いずれのフレームも特定の視点に偏っていることに気付くだろう。
読み手の視点が全然入ってないのだ。
作り手視点に偏ったフレームなのに、何故か書き手にとって使いにくい。
逆説的だが、そうなっていることに思い当たれば、処方箋は割と簡単に導ける。
ということで考えたのが、以下に示す『読書体験設計フレーム』である。